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ブライダルフォトグラファーの独り言

結婚式の撮影中、私の頭の中はいつもフル回転している。
だけど、それは単なる「仕事スイッチが入っている」というより、もっと感情に近い。

目の前で繰り広げられる一つひとつの瞬間に、心が揺さぶられっぱなしになります。

例えば新婦が父親と腕を組んでバージンロードを歩く時。ファインダー越しに見ているはずなのに、気づけば自分の目で追ってしまっている。
父親の手が少し震えているのが見えると「ああ、この日をどんな気持ちで迎えたんだろう」と想像してしまう。
そんな時、シャッターを切る自分の指がほんの少しだけ慎重になる。シャッター音さえも邪魔したくないような神聖な空気がそこにあるから・・・

撮影中は常に「次の瞬間」を予測しています。
笑顔がこぼれるタイミング、涙が落ちる一秒前、手がそっと重なる瞬間。どれも一度きりで、やり直しはきかない。だからこそ集中力は極限まで研ぎ澄まされる。
でも不思議とプレッシャーというよりは「使命感」に近い。
この人たちの人生の中で今日という日は特別でかけがえが無くて、そして私はその証人であり記録者なんだと思うと自然と背筋が伸びる。

時々、ふとした瞬間に「この仕事をしていて良かった」と思うことがある。
例えば披露宴の終盤、新婦が手紙を読む時。声を震わせながら「お父さん、お母さん、今までありがとう」と言った瞬間、会場中が静まり返る。私はその空気を光と影と構図で切り取ろうとする。
だけど心のどこかでは「新婦はどんな思いでこの言葉を選んだんだろう」と考えている。
写真には写らない感情まで、なんとかして残したい。そんな欲が出てしまう。

もちろん現場は常に完璧じゃない。時間は押すし天気は読めないし子どもは自由奔放だし(笑)。
でも、そういう“予定外”の瞬間こそが後で見返したときに一番笑顔になれる写真だったりする。
だから私は常にカメラを構えながら心は柔らかくしておくようにしている。予定通りじゃないからこそ、美しい瞬間がある。

結婚式の撮影は、ただの「記録」じゃない。
それは、人生の節目に立ち会い、その一日を永遠に変える「記憶」をつくること。
私はその一枚一枚に願いを込めている。
「この写真を見たとき、あなたが今日の気持ちを思い出せますように」って。

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